ランサーエボリューションの進化&WRC
ランサー・ランエボ改造車以外の改造車買取事例ページです。その買取事例の一部をご紹介しています。ぜひ査定をご依頼いただく際のご参考にしてください。
ランサーエボリューションⅩ(CZ4A)<市販車>
<市販車>
2007年10月に発売されたランサーエボリューションⅩのベース車は、フルモデルチェンジによってランサーから車名が変わったギャランフォルティス。エボも4世代目へと進化したのである。
エボⅩのボディは大きく重くなってしまったが、その分剛性もアップしていた。エンジンは伝統の4G63からアルミブロックの4B11へと変更。吸排気ともMIVECが搭載されたこのエンジンは、最高馬力はエボⅨの280PS(2008年10月のマイナーチェンジで300PSへ)と変わらないものの、最大トルクが43.0kg-mに達している。MIVECを載せるとそれなりに重量増に繋がるのだが、このエンジンは補機系を付けた状態で比較すると4G63より10kg以上軽く仕上げられている。
また、GSRグレードにはツインクラッチSSTを新たに採用。ゲドラク社と共同開発されたこの2ペダルMTは人間よりはるかに速く正確に変速できる。S-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)と相まって上質で安全な走りを実現している。S-AWDはこれまでのACDとスーパーAYCに、スポーツABSとASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)を加えた電子統合制御で、常に路面や状況に合わせた最高の安定性、旋回性をもたらしてくれる。まさにWRCで磨いてきた技術が結実したクルマと言って良いだろう。
ランサーエボリューションⅩ(CZ4A)<WRC>
<WRC>
2006年のWRCからミツビシのワークスチームは姿を消した。だが、それでもWRCからミツビシのクルマが消えてしまったというわけではなかった。他のWRカーに比べて、コンベンショナルなランサーWRC05はトップカテゴリーに挑戦するプライベーターが使用には絶好のマシンだったし、何より入門的なグループNカテゴリーではランサーエボリューションが最大勢力となっていた。
以後、ミツビシのラリーの灯火は、2002年よりスタートしていたグループN車両によって競われるPWRC(プロダクションカー・ワールド・ラリー・チャンネルシップ)を舞台として、ライバルであるスバル・インプレッサとの戦いに燃え盛るのである。グループNはグループAよりも改造範囲の狭い車両カテゴリー(といっても車両代&改造費で2000万弱掛かる)で、グループN用のFIAホモロゲーションパーツの開発および申請は、一部を除いてメーカーにしかできないことであった。
2007年10月に発売されたランサーエボリューションⅩもこうした、グループNホモロゲーションを取得しつつ登場。当初は軽量のエボⅨを好むユーザーが多く、乗り換えが進まなかったが、その開発が進むにつれて次第にスピードが増し、2014年現在でも一線級もマシンとして活躍している。
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8月18日
ランサーエボリューションⅨ&ランサーエボリューションⅨ MR(CT9A)<市販車>
<市販車>
WRCのトップカテゴリーからランサーエボリューションの名前が消えてしまった後も、グループNカテゴリーや各種国内モータースポーツを見据えてエボの進化は続いた。2005年3月、ランサーエボリューションⅨが登場。エンジンのシリンダーヘッド吸気側に、待望の可変バルブタイミング機構MIVEC(ミツビシ・インテリジェント&イノヴェイティブ・バルブタイミング&リフト・エレクトロニック・コントロールシステム)が搭載された。高回転域での出力と燃費効率を向上させ、低速でも扱いやすい特性に仕上がっている。これにより、最大トルクはGSRで40.8kg・m、RSで41.5kg・mとなった。さらにRSはターボのコンプレッサーホイールをこれまでのアルミ合金からマグネシウム合金へと素材変更。慣性重量が減ってレスポンスも向上している。グレード構成も変更されて、GSRとRSの中間グレードとして、RSをベースに快適装備を追加したGTが設定された。
そしてエボⅨ発売から半年後の2005年9月、ランサーエボリューションワゴンが登場。ハイパフォーマンスなワゴンに対する市場ニーズに応えるために、初めてのワゴンボディのランエボが誕生したのである。中身はほぼエボⅨを踏襲し、グレードは6速MTのGTと5速ATのGT-Aの2つ。GT-AにはATの耐久性を考慮し、MIVECは装備されていない。ちなみに、このワゴンはスーパー耐久レースにも出場し、クラス2位表彰台も獲得している。高剛性なボディ、整った重量配分、ワゴン形状の空力特性などがプラスに働いたのである。
ワゴン登場から約一年後の2006年8月には、セダン、ワゴンともに小変更を加えた4G63ファイナルモデルとなるランサーエボリューションⅨMRが発売。セダンについてはターボの選択肢が広がり、標準設定としてチタンアルミタービン、メーカーオプションでエボⅨのマグネシウムタービンを改良したものが用意されていた。
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8月4日
ランサーエボリューションⅨ&ランサーエボリューションⅨ MR(CT9A)<WRC>
<WRC>
2004年シーズンに再びWRCに復帰したミツビシの新しいWRカーは、市販車の面影が全くないデザインで登場した。名称はランサーWRC04。マシンを設計したテクニカルディレクターは、プジョーで206WRCなどをデザインしたマリオ・フォルナリスが務めた。
これまでどおり、ランサーセディアをベースに4G63を搭載していることのみ引き継いでいるが、それ以外は全く新しいマシンとしてランサーWRC04は作られた。バンパーには冷却のために最大限に開けられた開口部。1770mmまで拡幅された前後フェンダーは、ホイールハウス内の乱流を抜き去るための独特の形状。ストラットタワー上部にあたるトランク前方に接地された巨大なリアウイングなど。ランサーWRCはこれまでのミツビシのラリーカーとは異形のシルエットだった。エンジンは20°後方に傾斜させ、ターボもミツビシ製からギャレット製に変更。サスペンションはオーリンズ、ブレーキはブレンボというのはこれまで通りだった。駆動系は、リガルド製となった5速シーケンシャルに3つ全てのデフには機械式のLSDが組み込まれていた。当時のWRカーの定番としては、セミオートマ+3つのアクティブデフという電子制御がふんだんに盛り込まれた仕様。駆動系に関しては、ランサーWRC04は時代をさかのぼってしまったかのような内容だったが、これはまずクルマの基本となる部分をできる限り磨き上げてから、電子制御を取り入れようというフォルナリスの考えによるものだった。つまりランサー04は、開発陣も認める開発過程のラリーカーだったのだ。
それでも開幕製モンテカルロではジル・パニッツィが6位に入る幸先の良いスタート。このまま開発が進むと同時にリザルトも向上するかと思われたが、それ以後のラリーではなんとか完走を目指すというレベルの走りが続く。その後、再び第10戦から活動を休止。これには当時のミツビシ本社を揺るがせたリコール隠し問題やダイムラーとの提携解消などの影響もあった。
しかし、2005年の開幕戦で再びWRCに復帰。6速セミオートマやターボのアップデートに加えWRカー規則の小変更に合わせて1800mmまで拡幅されたランサーWRC05は、このモンテカルロを3位で走り切る。ミツビシにとっては久々の表彰台だった。優勝こそできないものの、その後も表彰台や入賞を続けながら走るランサーWRC05はその潜在力を強く感じさせた。途中、センターデフのアクティブ化やオーリンズダンバーの再採用などなどで着実にポテンシャルをあげて、シーズン最終戦には2位も獲得。2006年シーズンの体制発表も終えたチームに、衝撃のニュースが届く。2005年シーズンをもって、ミツビシ本社がWRC撤退を決めたのである。
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7月21日
ランサーエボリューションⅧ&ランサーエボリューションⅧ MR(CT9A)<市販車>
<市販車>
2003年1月、ランサーエボリューションⅧがデビュー。当時のミツビシの統一デザインである三角形のフロントグリル(ブーレイグリル)が採用され、エボⅦとはかなり印象の顔つきとなった。進化のポイントとしては、その4WDシステムにさらなる磨きがかかったことだろう。エボⅦのときには、若干違和感があると言われたACDがよりドライバーが馴染みやすい自然な制御となり、GSRのリアデフにはAYCを改良したスーパーAYC搭載された。このスーパーAYCはスーパー耐久レースなどの参戦車両にも採用され、モータースポーツユースでも(接地性が安定している舗装路においては)効果的であることが実証された。
エンジンも各部改良によりトルクを40.0kg・mへと増大させながら、エンジン単体で2.5kgの軽量化も果たしている。駆動系ではGSRに待望の6速マニュアルを標準装備されたが、RSではメーカーオプション設定。主にモータースポーツユースではより信頼性の高い5速マニュアルが継続使用されることが多かった。
そして2004年2月、エボⅧにさらに改良を加えたエボⅧMRが登場。このモデルのポイントは、軽量化&低重心化で、これまでのスチールより約4キロほど軽いアルミルーフが採用された。またドア内部のサイドインパクトバーも、これまで通りの強度を保ちつつアルミに変更し、3.5キロの軽量化。GSRのダンパーにはビルシュタインを採用し、軽量化と相まって走りの質感が大幅に向上している。さらに、スーパーABSの採用など、さらに電子制御に磨きがかかった。
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7月7日